2016年7月14日 (木)

◇新しい公式サイトオープンしました。

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本日2016年7月14日、新しいサイト「山口路子ワールド」オープンです。
ブログも、新しいサイトに移行していますので、
これからは
山口路子ワールド」をご覧ください。

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2016年7月12日 (火)

◆覆された宝石

20160712_2


「天気」

(覆された宝石)のやうな朝
何人か戸口にて誰かとささやく
それは神の生誕の日

西脇順三郎の、とっても有名な詩。
けれど、数日前に、お友達からこの詩のことを聞いたとき、私は全然知らなかった。

お友達は、高校生のときの教科書に載っていたこの詩の印象がいまだ強烈だと言った。
先生から「この宝石は、いくつかの宝石でしょうか、それとも一つでしょうか?」と質問され、彼は考えて、たぶん一つだな、と思った、と言った。
私も、聞いてすぐに、「一つ、絶対一つ!」と威張っていた。

詩に関しても、感能力がないことを充分自覚しているけれど、この詩は、彼の口から、音で聞いたわけだけれど、心に残った。

意味などは関係なく、ことばが、形として、心に残った。そんなかんじだった。

そして、色々と調べてみると、この詩は一つの伝説のようになっていて、ほとんど「ものすごい詩」として独り歩きをしていることがわかった。
西脇順三郎は超有名な詩人で、翻訳が壁となって受賞はしていないもののノーベル賞クラスの詩人で、信奉者がたくさん。
私はこの「天気」という詩の、覆された宝石の( )がとても気になった。
そうしたら、このカッコは、キーツの「エンディミオン」からの引用だからカッコをつけたのだと詩人本人が言っていたことを知った。

ああ。またしても、何かが私に起こったのかもしれない。
と、大げさに騒ぎたくなる。

だって、詩に疎い私だけれど、キーツの「エンディミオン」は、ちょっと知っていて、なぜなら『美男子美術館』で扱った絵、ジロデ=トリオゾンの「エンディミオンの眠り」の章で、書いたから。

エンディミオンって、ギリシア神話に登場する人間の美男子で、彼は月の女神セレネに愛されて、永遠の眠りとともに永遠の若さを与えられて、ずっとずっとセレネに愛される、そんなロマンティックなお話。
***
キーツ。二十五歳で夭折したイギリスの詩人。
彼の代表作のひとつが『エンディミオン』。
四千行もある長い叙事詩は、ギリシア神話とはちょっと違っていて、エンディミオンが空や海を放浪して、やがてセレネと結ばれるという内容になっています。
冒頭部分、訳すとこんなかんじです(この詩の最初の一行がとっても有名です。だから英語も一緒に)。
美しきものはとこしえによろこびである A thing of beauty is a joy for ever
その愛すべき魅力はけっして消滅することなく
わたしたちに安らぎと 多くの甘い夢と健康的で静かな眠りを与えてくれる
キーツの美意識が集約されていると評価されている箇所です。
キーツはエンディミオンに「美の永遠性の象徴」を見ていたようです。
(『美男子美術館』「エンディミオンの眠り」より抜粋)
***
西脇順三郎は、この「エンディミオン」の詩のなかの、
a youthful wight
Smiling beneath a coral diadem,
Out-sparkling sudden like an upturn'd gem,
Appear'd
ひとりの若者が
珊瑚の王冠のもと、微笑みながら
覆された宝石のように 瞬間的にきらめく光を放ちながら
現れた
upturn'd gem, これを(覆された宝石)として引用し、引用したことを表すためにカッコを用いた、というのだ。
もうこれだけで、この詩人、好み。

私は、たまたま自分が知っている詩、「エンディミオン」とのつながり、そしてちょうど数日前に終わったばかりの「語りと歌のコンサート」でエンディミオンの物語を話したばかりだったことから、何か運命的なものを感じて、だからここに記録しておこうと思った。

詩の力、についてはわからない。
けれど、言葉の力なら、わかるような気がする。
すくなくとも、お友達から口伝えに聞いて、こんなに心に残る言葉があるということ。
だって、
覆された宝石のような朝
だよ。
こんな言葉、表現があるなんて。
この言葉があらわす、美しいきらめき、神々しさ、希望の粒子……。
ああ。幸せな気分。

今朝はどうだったかな。(覆された宝石)のような朝だったかな。

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2016年7月11日 (月)

◆アナイスと涙と

Fullsizerender アナイス・ニンについて、杉崎和子先生に質問ができる機会をいただいて、あらためて、先生がお書きになったアナイスについての文章を読む。

たいていは「訳者あとがき」なのだけれど、でも、これがすごい。
ずっと以前からそう思っていて、10年前に出版した『軽井沢夫人』にも明記してあるけれど、杉崎和子というひとの文章、その視線と表現力には、ほんとしびれる。
そして、私のアナイスは、翻訳という意味も含めて、そのほとんどが「杉崎和子のアナイス」なのだということを、再確認する。

今日は一日アナイスと向き合っていて、杉崎和子先生の文章と向き合っていて、なんども泣けてきた。ほら、いまだってまた涙が出てくる。この涙のわけがよくわからない。ここに書くことで、そのわけを知ることができるだろうか。

アナイス・ニンという、とてつもなく魅力的な人がこの世に存在したこと。 そのアナイスと出逢って、魅せられて、アナイスを日本に紹介することに尽力した人が存在すること。 そして私は彼女たちが、そして彼女たちをつつみこむように存在する中田耕治先生(アナイスをはじめて日本に紹介した作家)が、ほんとうに、好きなのだということ。
こんなに、心から、好きだ、と思えるものがあることに、もしかしたら、私は感動しているのだろうか。

日々の生活、日々の仕事。

なるべく嫌なことはしないように、そういう人生を選択してきたつもりでも、当然のことながら、生活のなかにも、そして仕事のなかにも、心の底から、両腕を思い切り広げて、「好き! 大好き!」と言えないことがある。わりと多い。残念なことに。

「嫌いではない。好きかも。そうね、見方を変えれば、わりと好きかも」。
そんな程度のことが多いように思う。

そんななかで、今日は、杉崎和子先生のアナイスに関する文章を3つ、思い立って、全文書き写してみた。写すという作業は、その人の息遣い、精神の流れを感じることができるから、私はとても好きな作業。
涙が何度も出てきたのは、この作業をしていたときのことだった。

時間にすれば数時間。その間、私は、一人きりの空間で、おそろしいほどの幸せのなかにいた。
そうだ、今、書いて気づいた。
私、幸せだったんだ。

なにひとつ、「それ違うよね」「ほんとはあんまり好きじゃないよね」という疑問が、なにひとつない感覚に包まれて、そのことがとても幸せだった。

もちろんその先には、「そしてあなたはどうするの?」がある。私も、書かなくては。人の心を動かすような、自分が存在していたという証を書き残したい。そういうものを書かなくては、書きたい。という想いがある。
その想いからあふれでる涙も、何パーセントかは、きっとあったはず。

アナイス。杉崎和子先生。中田耕治先生。

どんなものに感動し、どんなものに価値を見出し、どんなことに幸せを感じるか。
それこそひとそれぞれだ。
けれど、世界には、自分と似た価値観、感性で生きている人もいるはずで、私は、なるべくそういう人たちにつつまれて、人生の時間を過ごしたい。

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*FB*七夕「語りと歌のコンサート」ご報告

Img_0094 ごきげんよう。

集中してのぞんだイベントのあとの、あの独特の空虚感のなかに、いまだたゆたっている月曜日の夕刻。

みなさまはいかがお過ごしでしょうか。

七夕の夜の南青山曼荼羅でのコンサート。

よい時間空間を創り出せたでしょうか。

Img_0095 アキミューズさん。過酷な体調のなかでの、あの本番での命の声はすごかった。私は彼女の状態を知っていたから、リハーサルでも歌わないでいた、そんな状況を知っていたから、一曲目から涙しそうになりました。

いらしてくださったみなさまには、ふかく感謝いたします。なにより、その場で、その時間を共有してくださったことが、私には重要なことです。ありがとうございました。


Img_1537 本日の言葉のプレゼントは、コンサートの台本のなかから。

「誰かが 心のまま動けば、必ず、誰かの心が傷つくのです」

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2016年7月 2日 (土)

*FB*もうすぐ七夕「語りと歌のコンサート」

Daihon 月の始まり。みなさまはいかがお過ごしでしょうか。

7月の始まり……、ということは6日後は、たぶん、今年はもう最後だと思われる(←だからいらしてね、って意味よ)「語りと歌のコンサート」の日じゃないの。

Akimuseの歌が聴ける日よ。

大好きなみなさまへ。

77日、ぜひとも、南青山の曼荼羅で、とびきりロマンティックな夜をご一緒しましょう。

Tanabata_2_2 イベントの詳細はこちら。

写真は、一流の映画のと並べて壁に貼ってある、「語りと歌のコンサート~妖しくきらめく7つの神話」、お気に入りのフライヤー。

それから、昨日、血のにじむような朗読トレーニング(うそよもちろん)に飽きて、テンションあげるために作成した台本用カバー。我ながら好みのものができたわ。

*できれば、事前にご連絡をいただきたいのです。ぱんぱんになっちゃったら入れない方が出てきて大変ですものね。

こちらにメールをくださいな。my.orange@zels.co.jp

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