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2014年12月 6日 (土)

◆ルイ・ジュヴェと中田耕治と芸術行動

3534中田耕治の『ルイ・ジュヴェとその時代』をふと思い出したのは、「伝記」を書くってことについて、いろいろと想いをめぐらしていたから。

それで色々と中田先生関係の資料をひっくりかえしていたら、「田栗編集長への手紙」というタイトルのエッセイを見つけた。

先生が田栗美奈子さん(すてきな翻訳家)へ宛てた手紙というスタイルで、ジュヴェを書いた理由について書いていらっしゃる。
私が知りたいこと、今の私に必要なことがそこにはつまっていた。

たとえばこんなこと。

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たいていの芸術家は修行してゆく途中で、おのれが従事する芸術への認識を深めてゆく。

だが、成功がやってくる。自分の仕事が成功すればするほど、(つまり、自分の仕事に対する認識が深くなっていけばいくほど)自分の芸術に対する認識が深くなってゆくことを認識する芸術家は思いのほか少ないんだよ。

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私はかつて『ルイ・ジュヴェとその時代』を噛みしめるようにして読んだ。

もうそこには、「知」がぎっしりつまっていて、死ぬほど圧倒されたけれど、私にとってなにより魅力的だったのは、書いた人の、中田耕治のジュヴェに対する想いが、もう、ものすごく強かったこと、それがどのページにも溢れていたこと。

圧倒的な知識に支えられた圧倒的な情熱

これをもつ人は、ほんとうに少ないと思う。どちらか一方は、わりといるのだろうけど。

私の場合は貧しい知識と衝動的な情熱かな。しょんぼり。

今の原稿がひと段落したら、もう一度、読み返してみたい。たぶん、すごい本なので、読んだ後、読者としてはひたすら感動に浸るんだけど、書く側としては、今まで書いた本をすべて回収したいくらいになる。

……それにしても、先生のはたいていそうなのだけど、このエッセイも、内容が濃い。

もういっこ、紹介。

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その時代の感性を刺激して、その図体を見たときから、お客さんに果てしなくおのれのありようをみずからに問いたださせるような俳優や演出家は少ない。

その芝居を見る前と、見てしまったあとの客の内面に、ことばにはならないような思いが日に日に大きくなってゆくような舞台を作る、それこそが「芸術行動」じゃないか。

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芝居に限らない。映画も、絵画も、彫刻も、そして本も、おんなじ。

なんだか、私には身近に、こういうことを言ってくれる人がいない。だから自分で探さないと。人を探すのは難しいから、たくさんの本を読むしかない。

最後に、もういっこだけ紹介。ああ、私、この言葉があればしばらくは大丈夫、これを胸にかかえていれば歩ける、そんなふうに思った、そんな言葉。

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二十一世紀。どんな時代になるのか。ただ、これだけはわかっている。きみたちは、謙虚に自分の仕事をめざすべきなのだ。

 

ということは、自分の人生までふくめて、どれほど大きな目的にむかってもわるびれずに立ちむかってゆく。

 

きみたちは、めいめい自分の信じる仕事をなしとげなければならない年代になってきている。それだけを心に深く刻み込んでおけばいい。

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はい。

と一人で返事をしてみる。ほんとうに、声に出して返事をしてみたら、気持ちがよかった。背筋がちょっと伸びたかんじ。

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