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■アナイス■「ヘンリーからアナイスへ」2011.1.12

Henri_2「きみは、スケールの大小にはかかわらず、本質的に芸術家です。
きみには鋭敏な感性で読者を魅了する力があります。
ただ理性と理知には用心してください。
問題を解決しようとしてはいけません。
むしろ、このようにいうのを許していただけるなら、諸々の問題、疑問、困難をもつことを求めてください。

狂気を養ってください。それから逃げてはいけません。

狂気にこそ芸術家にとっての智慧があるのです。

あらゆることを考えて煮詰めるのです。きみには表現の様式があり、自分の方法に熟練しています。説教してはいけません! 道徳的な結末はだめです。とにかく、そこには何もありません。

書いてください! ずっと」

もしあの日あのとき、フランスでヘンリーとアナイスが出逢わなかったら、文豪ヘンリー・ミラーは誕生しなかったかもしれない。

と言われるほどの影響をヘンリーに与えたアナイス。

そのヘンリーがアナイスにあてた手紙がまとめられた本。驚いたのは、そこには甘い恋人たちのささやきよりもむしろ、作家同士のきびしいやりとりがあったこと。

もちろん逢っているときは、激しく甘く愛しあったのだろうけれど、ことそれが創作となると、ヘンリーは容赦がない。換言すれば、それだけ、アナイスを対等に扱っていたということだろう。

それにしても「狂気を養ってください」とは。

ヘンリーは健全な精神をもっていたのだろう。

だからこのようなことが言える。
アナイスも、おそらくヘンリーよりは狂気と近いところにいたのだろうけれど、狂気のなかに埋没していったほかの芸術家たちとは一線を画したつよさが、あった。

昨夜は風邪で朦朧としたなかでこの本を読み終えた。いつもは近くにかんじるふたりを、ヘンリーとアナイスを、ひどく遠くにかんじた。

「書いてください! ずっと」
自分にむかってエールを送る朝。

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