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◎アイリス◎ 2006.9.8

Ai_2「あくなき幸せの追求、その鍵はイマジネーションの力です」

アイリス・マードックの言葉。

哲学者であり作家である彼女の生涯を描いた映画、晩年、アルツハイマーを患う作家の姿は見ていて辛すぎた。
言葉を生みだすことが、生きることそのものでもある彼女が言葉を失ってゆく過程は何度も見るのをやめようと思ったくらいだった。

夫は彼女を崇拝し、彼女を、彼なりに熱愛している大学教授。
彼は何年、何十年経っても、彼女を自分だけのものにできないことを知っている。彼女のなかに、自分がけっして立ち入ることのできない「秘密の」領域があることを知っている。

だから妻がアルツハイマーを発症し、自分なしでは生きることができなくなったとき、ある種の、愛の手ごたえを感じる。

この映画は「愛の映画」として観るものなのかもしれない。

けれど私は男女の、周囲からは「愛」としか表現されないもののなかにも、ひっそりと異臭を放つエゴイズムがあるのだと、ひしひしと感じて、背筋がぞくりとする想いだった。

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